腎移植とは
⑤小児の腎移植について
1. 小児の腎移植について
小児腎不全の治療法には、どのようなものがありますか?
慢性腎不全の治療には、血液透析・腹膜透析・腎移植の3つの方法があります。
小児では体が小さいため、多くの血液が体外循環される血液透析は不向きなため、腹膜透析や腎移植が治療の主体となります。
ただし透析では、本来の腎臓の機能の10%程度しか代替できないので、小児腎不全で見られる成長障害や精神的な発育障害などの合併症は解決できません。そのため、小児腎不全の場合はできるだけ早い時期に腎移植を受けることが最善の治療法となります。最近では透析を経ないで腎移植を行う、先行的腎移植も増えています。先行的腎移植は、透析を経てから移植する場合と比較して、生着率や生存率において優れているとされています。
小児の腎移植は何歳くらいから受けられますか?
大人の腎臓を子どものお腹に移植するにはスペースが必要なため、身長75㎝以上、体重が7㎏以上あったほうがよいと思われます。透析をしている慢性腎不全の子どもは成長が遅いため、1歳半~2歳代でようやく移植ができるまでに成長することが多いようです。
移植後はどのような変化がありますか?
移植後は活発になり、食欲も出て、たくさん食べられるようになり、身長の伸びもよくなります。明らかな生活の質の向上(=QOLの向上)が見られます。
移植後は普通に学校に行くことができますか?
普通に学校に通えます。
ただし、移植したお腹を直接圧迫するような運動は避けるようにしてください。具体的には、ドッジボール・サッカー・鉄棒などです。それ以外の一般的なスポーツを行うことは問題ありません。
薬はずっと飲み続けるのですか?
移植後は免疫抑制薬を飲み続ける必要があります。薬を飲み忘れると拒絶反応が起こり、最悪の場合には移植腎が廃絶し、透析をしなくてはならなくなります。
思春期には、身体的・社会的な変化が大きく、服薬を怠る危険性が高まります。薬を確実に飲めるよう生活の中で工夫をして、大切な移植腎を守っていく努力が必要です。