⑧ドナーの自己管理
1. ドナーの自己管理
腎臓が1つになっても日常生活に支障はないのでしょうか?
ドナーの方の安全が保証されていないと、生体腎移植は成り立ちません。そもそもドナーになるためには、様々な検査をクリアする必要があり、どなたでもドナーになれるわけではありません。ドナーになれるのは、腎臓が1つになっても十分健康でいられる方だけです。
腎臓は予備力の多い臓器ですから、1つになっても日常生活に支障はなく、腎提供後に問題となる合併症はほとんどおきません。しかし、腎臓が1つになると、腎機能は約20〜30%低下するといわれています。したがって、腎機能を悪化させる要因となる高血圧や肥満、糖尿病、脂質異常症などを避け、喫煙はしないようにしましょう。
普段の食生活は、どのようなことに気を付ければいいですか?
急激に太ると、残された腎臓に負担がかかりますので、太らないように、摂取エネルギーをコントロールしてください。
体重の目安としては、BMIで25未満を目標とします。また、塩分を控え、食物繊維を多く取ることを心がけましょう。特に食べてはいけないものはありません。
腎提供後は、どのくらいの飲料と尿量が必要でしょうか?
腎臓が無理なく老廃物を排泄するためには、尿量で1500〜2000mL/日は確保しましょう。また、汗をかく季節には、いつもより多めに水分を取るように心がけてください。
運動に制限はありますか?
退院後から、ウォーキングや軽いジョギングをすることは可能です。ただし、重いものを持ったり激しい運動をしたりすることは、術後3カ月までは控えて、体調に合わせて徐々に開始するようにしましょう。術後3カ月以降は、特に制限はありません。
社会復帰はいつごろからできますか?
退院後、いつまで休まなければならないという決まりはありませんので、ご自身の体調と相談しながら社会復帰してください。仕事内容によって不安がある場合は、主治医に相談してください。
定期検診は必要ですか?
健康チェックのため、腎臓を提供した後、2週間、1カ月、3カ月、6カ月、1年、それ以降は1年ごとを目安として受診し腎機能の検査を受けるようにしましょう。稀に高血圧や糖尿病などが放置されていて、腎機能に影響を及ぼしているような場合がありますので、適宜チェックをすることが重要です。
特に40歳以上の方は、1年に一度は人間ドックやがん検診を受けるようにしましょう。
他院で処方された薬は服用してもいいですか?
ほとんどの薬は問題ありません。ただし処方をしてもうら際には、ご自身がドナーであり、腎臓が1つであることを伝えるようにしましょう。